写真は当店で使い古したアイロンです。いろんな種類の物が何台も残してありますが、捨てることができません。そのうち骨董的価値が出るかも(笑)。今は艶消しのブラックが流行です。

お客様は、家庭用アイロンをクリーニング店でも使っているように思われるかもしれません。
しかし、実際は業務用アイロンなるものが存在します。
接地面積が広く、重量もあります。耐久性にも優れています。そのため作業効率が上がるのです。

私が家庭用アイロンを使うと、軽すぎて感覚がくるってしまいます。軽いアイロンだとしわを伸ばすために一生懸命に押さえなくてはなりません。これって意外と重労働です。
そこで、業務用アイロンは、負担にならない程度に重くしてあります。家庭用アイロンが1Kgくらいで、業務用アイロンは1.5Kgのようです。これが微妙なバランスを保っているように思います。
私が修行中のころは、一日中アイロンを振るのがしんどくて、寝ながらアイロンを振る夢を見ました。しかし、今はこの重さがどうしても必要だと思えるようになっています。

それから、業務用アイロンには電気で加熱する電蒸アイロンと蒸気だけで加熱するヒートレススチームアイロンの二種類があります。
電蒸アイロンは電気で加熱するため、綿や麻といった素材のしわを素早く伸ばすことができます。温度が上がりすぎないようにサーモスタッドもついています。
ヒートレススチームアイロンは、蒸気で加熱するために、繊維が焼けるほどの高温にはなりません。当店ではこのヒートレススチームアイロンを使っています。では、家庭でもこのヒートレススチームアイロンを使えば便利なのかどうか。
問題は蒸気をどこから持ってくるかということになります。クリーニング店の場合は蒸気を供給するためにボイラーが設置されています。当店にも数百万円のボイラーがあります。そしてアイロン本体も家庭用のものに比べて10倍くらいの値段がします。それにボイラーの設置や工事などがあり、やはりご家庭でお使いになるには現実的ではありません。
さらに言うならば、仕上げはアイロンばかりではなく、ワイシャツには仕上げ用ロボットがあり、ズボンには専用のプレス機があり、シーツには幅3メートルくらいのロール式の仕上げ機械があり、そのほかにも仕上げ用の設備がいろいろあるのです。
したがって、ご家庭ではなかなかクリーニング店のような仕上げにはなりませんね。実は私も機械設備なしには、ワイシャツ一枚すら仕上げることができません。