洗濯をするとき、染料によるトラブルが時として起こります。

今回は、この問題を深海3000メートルくらい、深く掘り下げてみようと思うのです。

特に今回は移染についてお話します。

移染とは、衣類の染料が溶け出し、ほかの衣類についてしまうこと。

赤い染料が白い布につくと日の丸のようになるし、黒い染料が白い衣類に移ると、ゼブラ模様になります。

実際はそんなおしゃれなものではないけれど……

 衣類の染色に関するトラブルというと他にもいろいろあります。

退色だったり、漂白による脱色だったり。

しかし、

悪魔で ぢゃなくって あくまで今回のテーマは染料による移染。

 

 

特に問題児なのは、紺色とか赤色なんか濃い色のやつ。

たまに黄色も「俺は関係ないよ」という顔をしながら、ちょっと出しゃばってくることもあります。

こいつらを純白のお嬢さんと一緒に洗うと、チョッカイを出してくるのです。

洗濯機から洗濯物を取り出してきたら、紺色のまだら模様ができていたということ、皆さんは経験ないですか。

基本的に染色は堅牢度という指標があって、よその人ともめないようにしてはあるのですが、100%ではない。

今回はこの回避方法についてお話いたします。

 

まずはどういった状態にあると、色が出やすいのかを探求します。

  • 温度をかけると色は出やすい
  • 濡れたまま放置すると色が出やすい
  • 植物繊維は色が出やすい。

などが思い浮かびます。

 

対策は

なんといっても、色の薄いものと、色の濃いものを一緒に洗わないこと。

そうすればもともと問題は起こりようがない。

スタンダールは赤と黒を問題としましたが、私は白と黒の問題を強く主張したいのです。

赤が軍人、黒が神父なら、白は何?と追及してはなりません。

 

綿や麻の植物繊維に濃い色が染めてあった場合は、色が出ると思って警戒すること。

そして、赤にしろ黒にしろ、色の出そうなものは濡れたまま放置しない。色が水に染み出す時間をなるたけ少なくするのです。

この一連の積極的かつ戦略的戦術でかなりの部分は回避できるでしょう。

 

そして、どーしてもいっしょに洗いたいせっかちさんに、裏技。

洗濯用のネットを2枚用意します。

色の濃いものを、ネットに入れ、それをさらにもう一枚のネットに入れる。

2重のネットで隔離することによって、色がほかの衣類に移りにくくなります。内側のネットが染まってしまうことがありますが、外のネットとの間に空間ができることから、ほかの衣類の移染はかなり防ぐことができます。

それに、濃い色の衣類はほこりなどがつくと目立つのですが、ネットに入れることによって、これも防ぐことができます。

他の薄い色の衣類もよし、中の濃い色の衣類もよし、ご主人様も良しの三方よし。

近江商人になった気分です。

 

ここからはクリーニング店の愚痴です。

お店が行うドライクリーニング(石油系用液による洗濯)においては、ポリエステルやポリウレタンといった生地が色を出すので問題になります。

お客様はご存じないでしょうが、女性のワンピースで特に問題となるものがあります。

上半身は白のブラウス。スカートは紺色のポリエステル。

これをつないでワンピースにしたものがあります。

 

そう、濃紺のスカートから白いブラウスに向かって色が出るのです。

これは分離して洗うという手が通じません。

ネットを用いても意味を成しません。

結果、色が出るのを承知のうえドライクリーニングで洗って、あとで染み抜きするか、色の出ないように水洗いをするかということになります。

移染の問題も、クリーニング屋さんにとっては、やはり悩みの種でございます。

ここでも、水面下3000メートルでの戦いが、静かに行われているのでありました。