どんな職人仕事も同じです。
急がせては良い仕事ができません。
しかし、お客様の都合もあります。
このあたりの兼ね合いが難しいんです。
クリーニング店の苦労話を聞いて下さい。

まず、クリーニングという仕事に求められる基本中の基本。
それは、汚れをちゃんと落とすこと。
あたりまえのことです。
しかし、場合によってはこれが難しい。

通常の機械による洗いを終えて、仕上げ工程に回したところ、落ちていないシミが見つかった。
時間をかければ落ちるのだけれど、再洗いさせるか、目をつぶって短時間納期を守るか。

こういう事態は多くあります。ここが経営者の判断です。
もちろん経営者の前には二つの道が続いています。
お客様の利便性を優先するか、品質による満足を提供しようとするか。
お急ぎのお客様の多い地域では納期優先。
品質を優先されるお客様の多い地域は、品質優先。
そうきっぱりと分かれているものではありませんが、地域性はあると思います。

短時間で落とせるシミなら問題ないのですが、シミの種類によっては、時間をかけないと落とせないものもあります。
たんぱく分解酵素などは、時間をかけてゆっくり反応させる類のもの。
型崩れしやすい衣料は、漬け洗いをして、ダメージを与えないように気を使います。
乾燥も、焦ってはいけないものもあります。
和服などは、急いで乾燥させると、てきめんに形くずれしてしまいます。
ダウンウエアは、短時間で納めようとすると乾燥不十分になります。
当店ではダウンウエアは原則水洗い。奥大山の源流水、軟水で洗いますがウリです。

画像1

ダウンウエアを水洗いした場合、乾燥にも時間がかかってしまうのでどうしても納期3日という結論に達します。

しかし、ダウンウエアを水洗いすると、驚くほどふっくらさっぱりの仕上がりになります。

わざわざ1時間かけて、当店まで毎年ダウンウエアを持っておいでになるおにいさんもあります。

ということを理解していただきたいのです。
しかし、こちらも商売ですから、お急ぎのご要望があれば、急ぎ仕事も預かります。
結果として、急ぎの品物は汚れ落ちより、仕上げまでの時間を優先させなければなりません。
職人気質のお店では、急ぎの仕事は受けねえ!というところもあるかもしれません。
実際、納期は1か月後というところも聞いたことがあります。
職人に取ってはなんと仕事しやすいのでしょう。
でも、それではお客様はたまりません。
商売としては成り立たない感じがします。
私は恐ろしくてそんなことは言えません。

だから、当店の場合『原則は納品3日。お急ぎの場合はお申し付けください』
という経営になっております。
インターネットショップ=リンピオユキトで受け付けた場合、配送時間もかかるので、最短5日をご案内しています。
できれば余裕を持って商品をお預けください。
しかし、実際のインターネットショップでは、比較的お急ぎのお客様は少なく、春に預けて秋に配送というケースが大半です。これだと時間をかけて品質にこだわった仕上げができるので、お店もお客様も双方に好都合です。リンピオの経営方針にもぴったりだと思っています。

年末になると、学生さんの制服が増えます。
冬休みの間に、制服を綺麗にしてやりたいという親御さんのあったかい気持ちがわかります。
こんな場合は、何を置いても納期厳守。

画像2

学生服などは汚れがひどいので、原則水洗いになります。

商品にあわせたクリーニング方法は当然のことです。
水洗いは、衣類にストレスを与えないように、なるたけタンブラー乾燥をせずに、自然乾燥をさせます。

水という媒体は汚れをよく吸い出すのですが、繊維の膨張をさせるという特徴があります。繊維をいたわって乾燥時間をゆっくりさせると、どうしても翌日の仕上がりになります。
短時間納品、品質重視。どちらにせよ、決めた納期を必ず守る。これが一番肝心なことだと思います。